災害によって被災された住民に対して、効果的・合理的な支援の提供を実現するために、被災者生活再建支援システムを設計・開発しました。2004年中越大震災では「り災証明発行」まで、2007年中越沖地震では「被災者生活再建支援業務」までを対象として、現場の課題を、現場の対応を参与観察することで明らかにし、その解決策を追究しました。2011年東日本大震災では、岩手県の沿岸市町村を対象として、システムの実装と包括的な支援の実現を目指しました。2014年にはグッドデザイン賞をいただきました。
井ノ口研究室(新潟大学)が新潟市と協働で作成した個人の津波避難経路選定における支援ツールです。このツールは、地震の後に発生する津波の浸水想定時間や歩行困難性、液状化情報を地図の上で確認し、自身の避難経路上のリスク(危機に関する情報)を判定し、経路を検索します。近年では、地区防災計画の策定も進められており、本ツールを活用することで、どのルートが自身に適しているかを検討できます。事前から、避難の経路を考える上で意識するポイントを学び、個人の減災力向上を期待しています。
都市の災害にかかわる脆弱性を補完するためには、大量に発生すると予想される被災者に対し、的確かつ適切な情報を与え、自分や家族、組織や地域で自律的な防災行動をとってもらう必要があります。そのためには、より被災者個人や世帯に特化した災害情報の発信が必須です。本プロジェクトでは、被災者個人や世帯が「居住/活動する地域特性」や「個人特性・生活パターン」によって、防災情報発信するサービスを「マイクロメディアサービス(超狭域防災情報提供サービス)」と名付け、その創出を目指します。